「司法書士土井節の法律豆知識」14

「司法書士土井節の法律豆知識」14

司法書士 土 井  節

 

「民法(相続関係)改正について」

民法改正は法律として成立していますが、それぞれ施行期日が異なり、当該期日が来るまでは経過措置が定められています。
今回は特別の寄与について説明いたします。
(1) 施行期日は2019年7月1日です。
(2) 施行期日前に開始した相続について、新法の規定を前提とする特別寄与料の請求はできない。 他方、被相続人の療養看護が新法施行前に行われ、相続が施行日後に開始した場合には、新法の規定が適用されるから、新法に基づく特別寄与料の請求は可能である。

「特別の寄与の請求者-特別寄与者」

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(被相続人の相続人を除く)

「特別の寄与の請求方法」

相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭を請求することができる。
当事者間で協議が整わないとき、又は協議ができないときは、特別寄与者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求できる。

「特別の寄与の請求相手」

特別の寄与の請求は相続人全員にする必要はなく、各相続人にすればいい。

「特別の寄与の請求時期」

相続の開始および相続人を知ったとき時から6箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは請求できなくなる。

「法制定の趣旨」

旧法では、被相続人の介護療養に尽くした相続人以外親族は、当然に相続人ではないため、相続財産に対する権利がなく、一方、被相続人の介護を行わなかった相続人でも、相続人として相続財産に対する権利を有していた。
新設された法により、両当事者間の、実質的公平を図ることを目的とし、特別寄与者の請求権を認めることとし、その反面、遺産分割の手続きが複雑にならないように、今まで通り、遺産分割協議は相続人間で行い、特別寄与者は相続人に対して金銭請求を認めることとした。

「留意点」

・法で、特別寄与者の請求権は規定されましたが、相続人に、請求したとして、当事者間で、特別寄与であることや特別寄与料の合意を得ることが、結構難しいと感じます。
そうなると、家庭裁判所に協議に代わる処分を求めることになりますが、家庭裁判所が考慮する一切の事情(寄与の時期・方法及び程度・相続財産の額・その他の事情)を書面等で説明する必要が出てくるように、感じています。
生前に親族としての愛情や義務感に基づき無償で自発的に療養介護等の寄与行為をしていた場合でも、介護支援メモでもつけておいたほうがいいのでしょうか。


執筆者紹介  終活よろず相談士 M1850BX006
司法書士 土 井  節(ドイタカシ)
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