「司法書士土井節のちょっとお耳を」1
平成28年4月1日
司法書士 土 井 節
一般社団法人全国資産終活支援センターに執筆させていただきます司法書士の土井 節と申します。
よろしくお願いいたします。
終活にもいろいろあるとは思いますが、今回は遺言の中で遺言執行者について、お話させていただきます。
「遺言執行者」
皆さんが終活を考える場合に、遺言をすることが一つの重要な選択になると考えます。
その際、遺言の中で、遺言執行者を選定しておいた方がいいのかを説明していきます。
そのために、遺言執行者が何ができるのかを知ることが重要です。
今回は<相続財産の処分に絞って、説明していきます。
(1) 不動産を推定相続人に相続させる遺言をした場合には、遺言の効力発生日
(遺言者の死亡日)に確定的に当該相続人に当該不動産は承継されます
ので、相続登記について遺言執行者の関与はありえません。
(2) 不動産を推定相続人以外の個人・団体に遺贈する遺言をした場合には、遺
贈の登記の義務者に遺言執行者はなれますので、遺言の中で、遺言執行者を選定しておいた方がいいことになります。
この選定をしておかないと、相続人全員の協力を求めなければならなくなります。
(3) 預貯金その他の金融財産等を推定相続人に相続させる、又は、推定相続人
以外の個人・団体に遺贈する遺言をした場合には、銀行等の対応によりますが、通常は相続人全員の署名・押印さらに印鑑証明書の添付を求められますが、遺言の中で、遺言執行者を選定しておくと、受遺者並び遺言執行者の関与のみで手続きが完了すると考えられます。
「重要なポイント」
(1) 遺言の内容によって、遺言執行者を選定しておいた方がいい場合と不要な場合がある。
(2) 遺言執行者を選定する場合には、遺言執行者の報酬を遺言の中で定めておく事。 この場合には遺言執行者が関与できる相続財産の額によって、定める事が重要です。
但し、遺言で遺言執行者に選定されても、委託を辞することもできるので、一方的な選定ではなく、遺言者と指定遺言執行者との合意が必要です。
執筆者紹介
司法書士 土 井 節(ドイ タカシ)
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