「司法書士土井節の法律豆知識」13
司法書士 土 井 節
「民法(相続関係)改正について」
民法改正は法律として成立していますが、それぞれ施行期日が異なり、当該期日が来るまでは経過措置が定められています。
今回は遺言執行者の権限の明確化について説明いたします。
(1) 施行期日は2019年7月1日です。
(2) 遺言執行者の権限については、新法主義と旧法主義どちらを適用するか、以下に説明していきます。
「通知事務」
(1) 遺言執行者が任務を開始した時の相続人に対する通知義務は、施行日後に遺言執行者になった者は相続発生が施行日前であっても、新法が適用され、遺言の内容を相続人に通知しなければならないこととなった。
「遺言執行者の権利義務」
(1) 遺言執行者が遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務規定は、施行日後に遺言執行者になった者は相続発生が施行日前であっても、新法が適用され遺贈の履行は遺言執行者のみが行えることとなった。
「特定財産に関する遺言の執行」
(1) 「特定財産承継遺言」とは遺産の分割の方法の指定として、遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言
(2) 相続時期に関係なく、遺言の作成期日と本法施行期日によって、新法主義と旧法主義を使い分ける。
(3) 新法を使える場合には、対抗要件具備行為が遺言執行者の権限に含まれる。
「遺言執行者の復任権」
(1) 相続時期に関係なく、遺言の作成期日と本法施行期日によって、新法主義と旧法主義を使い分ける。
(2) 新法を使える場合には、遺言者が遺言で別段の意思を表示していない場合には、遺言執行者は自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。
「留意点」
・相続分の指定、又は遺産分割方法の指定により、承継された財産は、旧法においては登記等の対抗要件なくして、第三者に対抗できるとされていたが、法定相続分を超える部分の承継については、登記等の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないものとされた。
対抗要件具備行為が遺言執行者の権限とされたことの反面、登記等の対抗要件を速やかに、備えることが要請されることとなる。
遅滞等により、第三者に登記等がなされ、第三者に対抗することができない場合があり得ることに注意が必要である。
執筆者紹介 終活よろず相談士登録 M1850BX006
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