「司法書士 土井節の法律豆知識」2
司法書士 土 井 節
♦相続について、間違いやすい言葉のシリーズ2です。
今回は「相続放棄」⇔「相続分がない遺産分割」
「相続放棄」
相続放棄は相続の開始を知って、なおかつ自分が相続人になったことを知って
から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立て、裁判所の審判により、相続人にならない手続きです。
「相続分がない遺産分割」
相続人間の遺産分割協議により、相続人中、ある人が相続財産を一切もらわない
との協議が成立する事があります。 この場合のある人は自分は相続放棄をして
いると思い込んでいる場合が多いですが、当然に誤りであって、一切相続財産を
受け取らなくても相続人の地位は失われていません。
「重要なポイント」
(1) 相続放棄の審判により、相続人から離脱する手続きですので、相続債権者から、相続負債を請求されても、相続放棄受理証明書を債権者に送付して、支払いを免れる事が出来ます。
(2) 相続放棄の審判は当該被相続人についての手続きですので、父の相続では相続放棄をしたが、その後、母の相続では相続人として権利行使する事は可能です。
(3) 相続放棄の審判により、推定相続人の順位(子→親→兄弟)が繰り下がっていくことに注意してください。
(4) 遺産分割協議書により、自分に相続分がないある人は、仮に、相続負債はある特定の人が引き受けると記載されていても、相続債権者から相続負債を請求されると、相続人としての地位があるため、支払いを免れる事が、できません。
「対策」
相続負債が相続財産より確実に多い場合は推定相続人全員が、事業承継がらみで長男が、全て相続負債を含めた相続財産を承継する場合は長男以外の推定相続人が相続放棄する方法が考えられます。
相続放棄をした場合には、相続放棄受理証明書をかならず取得しておく事。
又、後順位推定相続人への相続債権者からの不意打ちを防止する為に、先順位
推定相続人が相続放棄した事を連絡しておくことも大切です。
執筆者紹介 終活よろず相談士登録 M1850BX006
司法書士 土 井 節(ドイ タカシ)
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