「司法書士土井節の法律豆知識」3
司法書士 土 井 節
♦相続について、間違いやすい言葉のシリーズ3です。
今回は「相続放棄」⇔「遺留分の放棄」
「相続放棄」
相続放棄は被相続人の死亡後に出来る手続きで、家庭裁判所に相続放棄を申し立て、裁判所の審判により、相続人にならない手続きです。
「遺留分の放棄」
遺留分の放棄は相続の開始前に、遺留分を有する推定相続人が行う事が出来る
手続きで、家庭裁判所に遺留分の放棄を申し立て、家庭裁判所の許可の審判を
得て、あらかじめ遺留分を放棄する事が出来ます。
「重要なポイント」
(1) 遺留分権利者には被相続人の子供(第一順位)・親(第二順位)が該当します。
(2) 遺留分権利者は遺留分を侵害した贈与や遺言(相続・遺贈)について、当該受贈者・遺言執行者・相続人に遺留分減殺請求を行い、遺留分を侵害した範囲で、財産を取り戻すことができます。
(3) 遺留分の放棄が相続の開始前に限定されているのは、相続開始後は遺留分を侵害されていたとしても、遺留分減殺請求権を行使しなければよいので、相続開始後に遺留分の放棄手続きは不要な為です。
(4) 遺留分減殺請求には期間制限があります。時効による消滅は相続開始及び
減殺すべき贈与・遺贈を知ったときから1年です。 又、除斥期間として
相続開始から10年経過すると遺留分減殺請求は出来なくなります。
(5) 遺留分の放棄の撤回・取り消しは原則出来ません。
但し、重要な前提条件に変化があった場合には、家庭裁判所に遺留分の放棄取り消しの申し立てを行い、家庭裁判所の許可の審判を得て、遺留分の放棄の取り消しをする事が出来ます。
「対策」
家業を長男に継がせる方法として、長男に相続させる公正証書遺言と他の推定
相続人は遺留分の放棄の申立を家庭裁判所に行う事で、家業を円満に長男に継がすことができます。 当然に、生前に他の推定相続人に適度な財産分けをしておくことも、必要になります。
執筆者紹介 終活よろず相談士登録 M1850BX006
司法書士 土 井 節(ドイ タカシ)
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