「司法書士土井節の法律豆知識」6

「司法書士土井節の法律豆知識」6

司法書士 土 井  節

♦相続について、間違いやすい言葉のシリーズ6です。

今回は「寄与分」⇔「扶養義務に基づく返還請求」

「寄与分」

法定相続分割合を調整する機能として、特別受益と寄与分がありますが、特別受益が割合認められる事が多い一方、寄与分は被相続人の事業に労務の提供や財産上の給付等財産形成に寄与した場合以外はなかなか認めてもらえません。

「扶養義務に基づく返還請求」

親の扶養義務は子供全員に均等にあるものとされていますが、一方、経済的に可能な子供が扶養すればいいとも言われています。

「重要なポイント」

(1) 親と同居し介護や扶養をしていても、遺産分割協議において、他の相続人が任意に認めてくれない限り、調停等で寄与分を認めてもらうのは困難だと思います。
(2) 遺産分割調停において、寄与分が認められないとして、扶養義務に基づく返還請求を主張しても、遺産分割調停においては取り上げません。
(3) 扶養義務に基づく返還請求は別の訴訟手続きで行うことになります。
(4) 他の相続人から、親と同居していて家賃相当額の特別受益を受けていたと主張されることもよくあることです。

「対策」

親と同居し介護や扶養をし、最後まで見送った場合の遺産分割協議について、他の相続人も同居していた相続人家族の苦労を内心理解していく場合が多いのですが、遺産分割協議に入る前に、いい加減な財産目録の作成や不用意な文書を送付した為に、他の相続人の反発を受ける事が多いので十分注意をしてください。


執筆者紹介  終活よろず相談士登録 M1850BX006
司法書士 土 井  節(ドイ タカシ)
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